Top契約形態別>法人契約>長期平準定期保険

長期平準定期保険

長期平準定期保険とは ■長期平準定期保険の保険料の損金算入時期 ■長期平準定期保険特約の取り扱い

 保険期間満了時の被保険者の年齢が80歳,85歳というような超長期定期保険を,法人が契約者・死亡保険金受取人,役員・従業員が被保険者という,いわゆる法人契約の形で契約すると,その保険料は法人税基本通達9−3−5(定期保険に係る保険料)により処理すると,全額が損金算入できることになる。しかし,各年の保険料が平準化されているため,途中で解約するとかなりの額の解約返戻金があるところから,その経理処理をめぐり改正の動きがあった。
 これに関して「法人が支払う長期平準定期保険の保険料の取扱いについて」(直法2−2(例規),昭和62年6月16日発遣)通達が出され,損金算入を一部制約する形でその取り扱いが明示された。
 さらに,平成8年7月4日付課法2−3通達により,一部改正が行われたが,この長期平準定期保険の取り扱いの内容そのものに変更はない。

 

1.長期平準定期保険とは

 保険期間満了時の被保険者の年齢が70歳を超え,かつ,加入時の被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるものをいう。それ以外は,一般の定期保険の取り扱いとなる。

(注) 加入時の被保険者の年齢とは,保険証券に記載の契約年齢をいう。また,保険期間満了時の年齢とは,契約年齢に保険期間の年数を加えた数に相当する年齢をいう。

 例えば,85歳満期の定期保険を例にとると次のようになる。

(1) 契約年齢60歳の場合

60+(85−60)×2=110>105→長期平準定期保険

(2) 契約年齢67歳の場合

67+(85−67)×2=103<105→一般の定期保険

 つまり,保険期間満了時の年齢が70歳を超えても,契約時の年齢により長期平準定期保険となる場合とならない場合がある。75歳,80歳,85歳の各満期の場合についてみると,その契約年齢による区分は次のようになる。

満期年齢 長期平準定期保険 定期保険
75歳
80歳
85歳
44歳以下
54歳以下
64歳以下
45歳以上
55歳以上
65歳以上

▲ページ上部へ

2.長期平準定期保険の保険料の損金算入時期

(1) 前払期間(保険期間の60%に相当する期間。1年未満の端数がある場合は,その端数を切り捨てた期間を前払期間とする。)

保険料の2分の1を前払金等として資産に計上,残りの2分の1は損金の額に算入する。

(2) 前払期間経過後

 保険料全額を損金の額に算入するとともに,(1)で資産に計上した前払金をその期間の経過に応じて取り崩し,損金の額に算入する。

注1 特定の者(役員又は部課長その他特定の使用人及びこれらの親族)のみを被保険者,死亡保険金受取人をその遺族とする契約形態で,その保険料の額が当該役員等に対する給与となる場合を除く。

注2 定期保険の保険料と区分されている傷害特約等の保険料については全額損金算入できる。

〈設例〉

  • 契約の形態 契約者・死亡保険金受取人=法人,被保険者=従業員
  • 契約内容  85歳満期,60歳契約,男性,積立配当
  • 年払保険料 500,000円(うち定期保険料450,000円,特約保険料50,000円)


 <1> 当初15年間(保険期間の60%相当期間=(85−60)×0.6)の保険料払込時の経理処理

借       方 貸       方
定期保険料 225,000円
特約保険料 50,000円
前払保険料 225,000円
現金又は預金 500,000円
 


 <2> 16年目から10年間(前払期間経過後)の保険料払込時の経理処理

借       方 貸       方
定期保険料 450,000円
特約保険料 50,000円
定期保険料※ 337,500円
現金又は預金 500,000円
前払保険料 337,500円
 

▲ページ上部へ

 <3> 積立配当金は通知を受けた時点で益金処理する。

借       方 貸       方
配当金積立金 ×××
雑 収 入 ×××

 

 <4> 85歳満期時の経理処理

   積み立てられた配当金があれば支払われる。

借       方 貸       方
現金又は預金 ×××
配当金積立金 ×××

 

 <5> 途中で死亡・解約時の経理処理

借       方 貸       方
現金又は預金 ×××
前払保険料 ×××
配当金積立金 ×××
雑 収 入 ×××

 

3.長期平準定期保険特約の取り扱い

 養老保険や終身保険などに付けられた長期平準定期保険特約(特約の内容が長期平準定期保険と同じものをいう。)の保険料が,主契約の保険料と区分されている場合は,その特約保険料も上記2と同じ取り扱いとなる。

▲ページ上部へ