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家族内保障承継制度

1.制度内容 ■2.課税関係 ■3.支払調書

 第一生命は平成9年4月から「家族内保障承継特約(バトンタッチプラン)」を発売している。この制度は,ライフスタイルの変化によって保障ニーズが変わった場合,家族の中でより保障の必要性の高まっている人に,それまでの契約の価値を損なうことなく引き継ぐということが開発の趣旨となっているが,転換とは異なり,被承継契約と承継後契約には継続性がないため,承継時の課税については,税務上,新しい契約に引き継がれる承継価格の取り扱いが問題となり,その際には「承継が契約の継続かどうか」がポイントとなる。

1.制度内容

 既存の生命保険契約(被承継契約)の責任準備金等をもとに計算した下取り価格(承継価格)を,家族内の他の者(所定の要件を満たす者)を被保険者とする新たな契約(承継後契約)の一時払保険料に充当することにより,保障の見直しを行う制度。

 承継に際しては,以下の取り扱いとなる。

<1> 被承継契約は承継後契約の責任開始期と同時に消滅する

<2> 被承継契約に係る責任準備金,社員配当金,前納保険料の残額及びその他会社に留保された金額の合計額(承継価格)は,その契約者に金銭で返還せず,承継後契約の一時払保険料に充当する

2.課税関係

(1)承継時の課税関係

 <1> 被承継契約については,返還金等を承継後契約の保険料に充当し,消滅すること

 <2> 被承継契約と承継後契約の被保険者が異なるため,被承継契約と承継後契約には実質的な継続性が認められないこと

 から,承継時において,被承継契約の契約者に対し,返還金等(保険金据置支払金を除く。)について所得税又は贈与税が課税される(所令183<2>,相法5<2>)

 承継時における具体的な課税関係は,被承継契約の保険料負担者,被承継契約の契約者,承継後契約の契約者の形態により,次表のようになる。

 
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家族内保障承継制度における課税関係

(注)その他会社に留保された金額(据置保険金)については,承継前に課税関係が生じている ため,承継時に課税関係は生じない。

 

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(2)契約者が異なる場合の贈与税

 原則として被承継契約と承継後契約の契約者は同一とされているが,契約者が異なるときは,承継価格を承継後契約の保険料に充当することは,被承継契約の契約者と保険会社間で行うものであるため,承継時に承継価格分の保険料に対する贈与税の課税は生じないが,承継後契約の保険金等の受け取りが発生した際には,その保険料のうち承継価格分は被承継契約の契約者が負担したものとして取り扱われる。

 この点は,原則として,保険料の払込時ではなく保険事故が発生した時点で,保険料負担者と保険金等の受取人との関係により課税を行うという考え方と同様である。したがって,被承継契約の契約者が承継後契約の保険事故発生前に死亡した時には,契約の権利の相続が発生することになる。

 

(3)生命保険料控除

 承継後契約の承継価格分の保険料について,被承継契約の契約者が生命保険料控除を適用できる。この場合の生命保険料控除証明書は被承継契約の契約者に交付される。

 
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3.支払調書

(1)承継時

 被承継契約に係る支払調書(相法59<1>一,所法225<1>四)を提出する。

(2)承継後契約の保険金等支払時

 承継後契約の契約者と被承継契約の契約者が異なるときは,支払調書の摘要欄に,<1>家族内保障承継特約に該当する旨,<2>被承継契約の契約者名,<3>被承継契約の契約者について承継後契約の契約者との続柄及び<4>承継価格を記載する。

 【例】(摘要) 承継価格 750,000 夫 新日太郎」

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